I may well be wrong, but I am starting to get the distinct impression that the SharePoint bubble is about to burst. Or at the very least, that enthusiasm for SharePoint is waning and demand for the platform set will begin to plateau.
[From Trends: Is the SharePoint bubble going to burst?]
CMS Watchの記事を読んで考えるところがあったので、ご報告まで。
Microsoft SharePointは弊社がパートナーとして国内展開をつとめさせて頂いているAlfrescoの言わば競合にあたる製品です。Alfrescoは今ではEMC社の一部であるECMリーダ企業の1つDocumentumからのスピンアウト組を中心として構成された会社ですので、Documentumこそがまずもっての競合(仮想敵)であったわけですが、今ではECM業界全体におけるSharePointのプレゼンスが高まっているため、SharePointを競合と見なすケースが増えて来ています。
もう少し詳しく説明させて頂くと、元々電子的文書管理システムEDMSと言われていた製品群をベースとしてEnterprise Content Management(企業向けコンテンツ管理、統合コンテンツ管理)と言われる分野が北米を中心としたITマーケットで台頭してきました。金融や製薬といった業界を中心に広がった市場ですが、日本での市場規模が諸外国に比べてかなり小さいことが知られています。多くの分野で日本のマーケットが北米の後追いの傾向を示すと言われている中で、ECMの国内市場での伸びは予想よりも低いと言うことがよく指摘されています。(これをビジネスチャンスと見るか、ECMが日本市場に受け容れられない、恐らくは「文化的な」、特殊事情があると考えるかは、議論があるところです)
国内国外問わず、ECMについて言われてきたことに、「(ライセンスの)価格が高い」という問題があります。ECMによって得られる便益のほとんどは直接的に利益に反映されるものではないため、コンプライアンスやデータ保護に高い関心を持ち十分な予算を割り当てることができる業界・企業にしか導入されてきませんでした。ECMというコンセプトそのものは、比較的広くその意義を認められましたが、実際の導入スピードは(海外であっても)その評価と比すると決して早いものではなかったと思います。また、技術的にも機能面での差別化が難しい領域であり、各ECMベンダはマーケティングによりシェアの奪い合いを重視した結果、徐々にビッグプレイヤに買収されていくことになりました。
このある種閉塞した状況に対して、もたらされた変化が、Microsoft SharePointの台頭であり、オープンソースECM Alfrescoの登場だったわけです。SharePointは元々はポータルを作るためのツールで、コンプライアンス面よりも業務の効率化に重点がおかれた製品ですが、価格が安いため従来のECM製品ではマッチしない領域にどんどん食い込んでいきました。(説明が前後しましたが、ECMベンダは一時「柔らかい文書管理」ということでコラボレーションツールをファミリ製品として発表したり買収したりという動きを各社一斉に見せていました。このあたりの製品群はSharePointとのオーバーラップ領域が非常に大きかったと思います)。
実際、(ECM業界団体として最大規模を誇る)AIIMでもSharePointに対する注目は年々増していますし、AIIM関連のブロガーの記事でもSharePointを専門に扱ったものをよく目にします。今回引用したのもそういったコミュニティの一端をなす記者によるものです。(オープンソース製品であるAlfrescoよりも、Microsoft製品であるSharePointの方が業界団体としての盛り上がりに勝っているというのは少し意外ですが、Alfrescoはオープンソースモデルではあっても新興ソフトウェア企業であるAlfresco社の製品でもあるということを考えるとさほど不自然なことでもないのかもしれません)
SharePointがバージョンアップを繰り返し、ECMの領域に進出することで、今までライセンスコストの面で「足切り」にあっていたような領域にも導入の機会が訪れたというのは大きなビジネスチャンスです。元記事「SharePointバブルは弾けようとしているのか?」から読み取れるのは、大企業もその利用法に関心を示し、いわゆる「銀の弾丸」的な扱いを受けていたという時期が確かにあった「らしい」ということです。(あくまで北米での事情だと思うので)
元記事は、SharePoint 2010は素晴らしい製品になると予想されるが、思ったよりも反響が冷めているのではないか、という観点で書かれています。大企業はやはりデフォルトでついてくるものとしてSharePointのライセンスを手に入れるが実際には使っていないケースもかなりあるのではないか、SI企業はかつてSharePointがECM市場に対する「銀の弾丸」であることを期待していたが今はもう幻滅しているのではないか、と指摘しています。SharePointはECM市場の間隙をうまくつきもの凄いスピードで市場を席巻しましたが、その結果ユーザもSI企業もSharePointの強みと限界をよく知ってしまったので、新しいバージョンに対する期待も押さえられてきている、という意味で、その成長が頭打ちになる可能性があると考えたようです。(具体的な書かれ方はしていませんが、従来型ECMの隙間を埋めるための答えはSharePointだけではない、他の選択肢もでてきている、という指摘もありました)
コメント欄には、こうした懸念は実態に即したものでなく、プラットフォームとしての需要はむしろまだまだ増える方向にあるのではないか、というような反論も投稿されています。
恐らく、どちらの言っていることも正しいのでしょう。いまやSharePointはよく知られたツールになり、ここ数年ほどのインパクトを与えることは難しくなってきています。これまでと同じような「勢い」はなくなっていくと考えるのが妥当だと思えます。しかし、たかだか5,6年で埋めきられる程、コンセプトとしてのECMの適用分野が狭いということも考えにくいと思います。ライセンス出荷ベースでの成長は鈍るかもしれませんが、SharePointを含む広い意味でのECM製品をプラットフォームとしたソリューションは今後も増えていくだろうと思われます。(そうしたソリューションの規模感や事例数を含めた市場データがうまく取得できると面白いと思うんですが・・・)
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)
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