Further Evaluating Commercial Open Source - BusinessWeek — BusinessWeek:
こんにちは。aegif 技術担当役員の石井です。
AlfrescoのWebサイトにCEOのJohn PowellがBusinessWeekのサイトのBlogにゲスト投稿をした、という発表があったので読みにいってみました。内容は、Transpond社CEOのPeter Yared氏の投稿に対する反論ということのようでした。
Peter Yared氏の投稿は、「コマーシャルオープンソースの失敗」というもので、モデルとしてのコマーシャルオープンソースはあまりうまく行かなかった、成功する企業がいくつか存在するとしてもそれは特殊な事例で、非常に限定的な条件に適っていたからだ、という趣旨のものでした。ここでいうコマーシャルオープンソースとは、SugarCRM、Alfresco、Jasper、Pentaho、そして彼自身が立ち上げたActiveGridなどを代表する製品および企業群です。
結局、ここ6年を通してIPOにこぎ着けたコマーシャルオープンソースの企業が、Redhat、MySQL、JBossくらいだ、というのがその根拠として提示されています。(後で数件の事例がコメントを通じて追加されていますが、論旨そのものを覆すものではないとされています)
彼の主張は、SaaS・クラウドなどの新しいモデルの方がマーケットに受け容れられやすく、結局オープンソースであることそのものは顧客にとって大きな意味をなさない。プロプライエタリのモデルで新興企業がコストメリットを主張するケースと本質的な違いはなかっただろう。というものでした。(なので、コモディティ化した分野のソフトウェアを扱っていた企業だけが”成功”した、とも言っています)
対する反論としてAlfrescoのMatt Asayが実際にAlfrescoのビジネスが堅調に成長していることをあげています。さらにそれを受ける形で、反論記事にまとめたのが今回のJohn Powellの投稿でした。
John Powellは、基本的にコマーシャルオープンソースがコモデティ化した分野でこそ効果があるモデルであるということには同意した上で、中小企業や公共の組織など従来製品がリーチできなかったマーケットの開拓などの要素が元記事には抜けているのではないかと指摘しています。そして、自分たちが常に、何故自らの製品をオープンソースのモデルで展開しているのか、という問いに答え続けているとし、その理由を列挙しています。
- ユーザが購入前に試用することができる
- オープンソースのソフトウェア部品やミドルウェアの活用により開発コストが下げられる
- テストやコードレビューに多くの協力者の力を期待できる
- サポートビジネス自体がなくなるわけではない(誤訳である可能性があります)
- 無償版へのスイッチを意識するため、オープンソースモデルの企業はより高い説明能力を持つ
- 最終的な価格ももちろん抑えることができる
- 非常に透明性が高いロードマップを示すことにもなる
後半はユーザに対して主張するメリットなので、誰にとっての利点なのか、若干わかりづらい部分もあると思いますが、我々としては馴染みのある標準的な回答です。(ECM限定の話であればデータ形式の面でのロックインフリーという要素が必ず含まれたことだとは思いますが)
さらにこれらのメリットに加え、自身のプロプライエタリ・オープンソース双方のモデルでのビジネス経験を元に、オープンソースモデルによるイノベーションについて改めて強調しています。そして、(IPOや買収だけを成功と定義しているかに見える元記事に対し)それこそが新しい「成功」の基準の1つともいえるのではないか、と締めくくっています。
コメント欄を見る限り、Peter Yared氏は自分の論点とはずれていると感じているようですが、、、
恐らく彼は、SaaSやクラウドに比べると、コマーシャルオープンソースというモデルそのものがインパクトが小さいという点を主張したかったのではないかと思います。意味がないとも言わないし、コマーシャルオープンソースであることを理由に確実にビジネスが失敗すると言ってるわけでもないので、”たまたま成功しているケース”は反論にならない、と感じているのではないでしょうか。
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)
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