前回、予告しておきながらカバーできなかった話題、『ECMの終焉』について、です。ECM eraが終わった、っていう言い方もされていたので、その場合はECM時代の終焉、なのかもしれませんが。
元々はマイクロフィルムから始まっているとはいえ現在のAIIMはECMの業界団体でもあるわけですから、ECMの終焉というメッセージは穏やかではありません。ただ、容易に想像がつくことですが、これはあくまで関心を引くためのアジテーション的な言説で、実際、カンファレンスの最後を飾る会長のキーノートでは、「現時点でのビジネスの中心は従来的なECMビジネス。System of Engagementというコンセプトがお金を生み出すのはこれから(ただし凄く近い将来)」というような趣旨の発言がありました。
では、何故ECMの終焉という言い方がされるのか。それは、北米圏ではECMが普及しきっているから、という今までなされてきた説明だけでなく、Saas・クラウドの普及によって顧客が求めるサービス形態やスピードが変化してきていて、CRMやERPなどのかつて3文字略語と言われたアプリケーションカテゴリのラベルだけでビジネスをするのが難しくなってきたからだ、ということのようです。
これは営業マン向け(?)の別のセッションでも言及されていたことなんですが、今までは単純な組合せの数式でビジネスをしてきましたね、と。
Microsoft Sharepointの式は「ECM + Collaboration = $$$」(ECM plus Collaboration makes much moneyと読みます)、Alfrescoであれば「ECM - $$ = $$$」(ECM minus money makes more moneyだったかな?)、という具合に。
でも、そういうのはもうやめましょう、もっと自分たちの強みを見極めつつ、ECMそのものの価値を過小評価せずに商談を進めて行くべきです、というような話しがされていました。 ECMの終焉という話題もそこと基本線を同じくしています。ECMと例えばスキャナ管理ソリューションを単純に組み合わせて売るのではなく、自分たちのプラットフォームの上に顧客が実現したいソリューションを表現するアプリを載せていく形になっていくべきだ、と。
なので、キーワードとしてECMという言葉を出してものを売る時代は終わったんだ、ということのようです。 正直な感想としては、アプリを構築するのと特定モジュールをECMとの抱き合わせで売ることの違いがどこまであるのか、特に顧客アピールという面ではピンとこなかった部分もあるのですが2013年現在のAIIMのメッセージの方向性は上記のようなものになっていると考えていいと思います。
後は、日本の市場がそれをどれだけフォローするか、ってことになりますが、ECMの普及率の違いだけでなく社内システムの構築に対する組織構成がだいぶ違っているようなので、こういうコンシューマライゼーションが絡む領域だと単純に日本がアメリカをフォローするっていうモデルは通用しないですよねぇ、、、
(文責 Ishii Akinori IT-Coordinator)
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